自分の親友の話をしよう。
彼は幼稚園時代からの幼馴染で、家も近所にある。
彼はとても優しい人間だ。
人の痛みがわかる。むしろわかりすぎている。
それ故に、とても不利な立ち回りを強いられている。そんな人間だ。
そんな彼だが、実を言うと幼少期はそこまで好きになれなかった。
むしろ自分を嫌がらせの対象といていた印象が強い。
そんな彼とは殴り合いの喧嘩もしたことがある。
そんな仲だった。
彼に転機が訪れたのは、中1の時だった。
彼の両親が離婚し、彼は都内に転校することになった。
それを知らされたのは転校のわずか1週間前だった。
中学時代はそれほど頻繁に会っていなかったので、突然の別れであった。
引越し前日、彼の家でお別れ会が開かれた。
正直、実感が湧かなかった。
今までと何も変わらないと思って仕方がなかった。
その日はそのまま挨拶だけして割と早い時間に帰宅した。
次に会ったのは、2年後のことだった。